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【番外】私的東京角打ち酒場5選

東京にはあまたの酒場があるけど、よく行くお店、滅多に行かないけど味わい深い「角打ち酒場」の個人的セレクション。

今回のセレクション

今回は、「飲酒業界のハードコア業態」——そう、角打ち。
酒屋の店内で、そのまま飲める場所。
常連の酔っ払いが巣食い、素人には入りにくくて、ちょっと敷居の高そうな“プロ仕様”のような雰囲気のところだ。

「角打ち」の語源は、木の枡に注いだ酒を、角に口を当てて飲んだことに由来すると言われている。
諸説あるが、もともとは北九州の炭鉱地区が発祥。酒屋の店先(あるいは店内)でそのまま飲めるスタイルだ。
九州では店舗数は減りつつあるものの、今でも昼間——いや、朝から飲める酒屋も少なくない。
つまみは缶詰や豆など、火を使わない乾き物が中心。さくっと立ち飲みできる、気軽な酒場だ。
(そもそも飲食店として登録していない店では、料理の提供がNGという事情もある)

最近では、酒屋の代替わりやリニューアルにともない、おしゃれな料理を出す立ち飲み屋に変身する店も増えてきている。
東京でも、オフィス街や繁華街にある酒屋で、かつては夕方になるとサラリーマン向けに角打ち営業をしていた店があった。
だが、地価の高騰や再開発、跡取り問題などの影響で、そもそも酒屋自体が減ってきているのが現状だ。

というわけで今回は、そんな東京でも今や少数派となった、“こじゃれていない”角打ち酒場・私的5選をご紹介。もちろんすべて立飲みスタイル。自分の行動範囲からのセレクションなので、山手線近辺のエリアからピックアップした。紹介順はランキングではないので深い意味は無い。

酒、いや酒場好きな人なら、それぞれ「俺の推し店」があると思うので、「なんで(俺の)店が入ってないんだ?」と疑問に思うかもしれないけど、そこはあくまでも“私の好きな店”ということでご容赦を。

「藤田酒店」@神田

藤田酒店,神田,角打ち

サラリーマンの憩いの場

トップバッターは、新橋と並んでサラリーマン向けの酒場が密集する街・神田から「藤田酒店」。

神田の街は碁盤の目のように整然とした区画ながら、JRの線路が斜めに横切っていたりして、方向感覚が狂いやすい。
神田駅から向かえばわかりやすいのだけど、他から行こうとすると、毎回迷ってしまうロケーションだ(あくまで個人的感想)。

ここは昔ながらの、同じエントランスで小売りと飲食の両方を営む「オーセンティック型」の造り。ただし、現在は小売りよりも飲食がメインのようだ。
昼間は近所の飲食店向けの配達・卸販売が主な営業スタイル。ちなみに角打ちは17時から始まる。

店内は、入って左手にカウンター、その奥にはテーブルが5卓ほど。すべて立ち飲み形式。
場所柄、客層は近隣で働く会社員が中心で、女性のソロ飲み客を見かけることもある。

藤田酒店,神田,角打ち

奥にはテーブル席。立飲みだけど

自分は“本飲み”に備えてビールだけにしておく時が多いけど、酒屋だけあって日本酒の地酒も充実している。一杯500~600円のショット売りが基本。

ビールやRTD(Ready To Drink)系の缶ものは、カウンター向かいの冷蔵庫からセルフで取り出し、その都度会計(PayPay対応だったはず)。

藤田酒店,神田,角打ち

泡だらけだけどまずは一杯

つまみは乾き物が充実。缶詰やカップ焼きそばなどがカウンター前にずらりと並んでいる。
なぜかレトルトカレーも置いてあるけど、これもつまみとして“アリ”だと思う(たぶんご飯は無い)。

藤田酒店,神田,角打ち

つまみ軍団がお迎え

乾き物とは別に、加熱系のつまみ=料理も提供している。

藤田酒店,神田,角打ち

こちら料理のお品書き

ピザやソーセージ盛り合わせなど、しっかり腹にたまりそうなメニューもあり、基本的に500円以下。
自分はいつも乾き物しか頼んでいないけど、今度レトルトカレーを試してみようと思う。

だいたいここでは、いつも1,000円以内でいい感じに仕上がる。
このあとは、「東京最古の酒場」とも言われる「みますや」へ向かうことにする。

「四方酒店」@浅草

四方酒店,浅草,角打ち

浅草の穴場

続いては、今やインバウンド観光客の聖地と化した浅草から「四方酒店」をご紹介。このブログの「せんべろウォーク」でも何度も登場する、はしご酒の出発地点だ。

銀座線の浅草駅を出て地上に上がると、多くの人が雷門方面へと向かう。その人波に逆らい、吾妻橋方面へと歩を進める。隅田川沿いの細い路地に入るとすぐに、この店がひっそりと佇んでいる。

とはいえ、最近ではこのあたりにも外国人観光客や修学旅行生といった“侵入者”の姿が増えてきた。通りの入口には、インバウンド客に人気の高い「権八」や、江戸切子の体験型ショップなどもあり、その影響だろう。ただ、そんな観光客たちも、この角打ちはほぼ素通りしていく。

「立飲み」の看板は出ているものの、確かに一見しただけでは、店内で飲めるとは気づかないかもしれない。

店の女将さん曰く、
「お店の前にたむろするグループが多いから、人払いするのが日課よぉ」
と、少し困ったように話していた。

四方酒店,浅草,角打ち

店内も王道型角打ち

店内はいわゆる王道の角打ちスタイル。小売りと飲食スペースが完全に一体化した、オーセンティックな空間だ。ただ、「藤田酒店」との違いは、ここでは朝から飲めるという点。小売りと飲食の営業時間を分けず、朝から夜まで通しでやっている。

小売用の日本酒やウイスキーの品ぞろえも豊富で、その多くは店内でショット売りで楽しむことができる。「日本酒飲み比べセット」(3杯1000円)のほか、梅酒や紹興酒のグラス売りも用意されている。

四方酒店

充実の乾き物

ここでは調理されたつまみの提供は無しで、乾き物のみ。価格は150~200円とお手頃だ。会計はその都度払いだが、スマホ決済にも対応しており、今どきらしさを感じる。

四方酒店,浅草,角打ち

生ビールもあるよ

店内には立ち飲み用のテーブルが2卓あるのみのコンパクトな空間で、長居には向かない。壁には利用上のルールが貼られている。

・1組30分まで
・1人1杯以上の注文
・飲酒後の入店はNG
・立ち飲みなので座らないこと
・大声で話さない
・他のお客さんに話しかけない
・空き缶・カップ・ゴミなどは机の上に置いておいてOK など
ちょっと見は面倒くさそうな感じもあるけど、店内は穏やかな雰囲気。

ここではルールに準じて、「生ビール1〜2杯+乾き物1つ」くらいでサクッと切り上げるのがちょうどいい。生ビールはエビスとスーパードライの2種類があり、価格はどちらも500円。ここはアサヒのお膝元なので、スーパードライを選びたいところ。瓶ビールではサッポロの赤星もあったはず。

ちなみに、女将さんはとても話好き。昔話や地元の小ネタなどを披露してくれるが、ここは“江戸の角打ち”らしく、長居は無用。軽く一杯引っかけたら、次の一軒へと向かおう。

「折原商店」@門前仲町

折原商店,門前仲町,角打ち

参道角打ち

お次は、正月や節分、神輿シーズンになると人でごった返す、門前仲町——通称「門仲」から、「折原商店」をご紹介。
この街、寺社仏閣だけじゃない。飲み屋もなかなかの激戦区で、魅力的な一軒がひしめき合うステキなスポットだ。

「折原商店」は、門仲のランドマークの一つ、深川不動尊の参道沿いにある角打ち。もともとは飲食店向けの酒の卸売りがメインのようだけど、最近では飲食事業にも力を入れていて、昨年は新橋駅ガード下に「升徳升本本店」という角打ちもオープンさせている。
店頭には酒ケースを積み重ねた立ち飲み用の簡易卓が構えており、入り口からすでに“飲ませる気”満々の門構え。

https://tabelog.com/imgview/original?id=r21491195149488

↑写真撮ってなかったので、食べログからのリンクです

こちらも、小売と飲食のスペースが一体化していて、営業時間も通し。ただし、店のど真ん中には大型の立ち飲みテーブルが陣取っており、壁際にもカウンターが配置されているため、「飲み屋」としての空気感がかなり強い。

ここで特筆すべきは、とにかく日本酒の品ぞろえ。全国各地の地酒が冷蔵庫にズラリと並び、小売はもちろん、グラス売りでも楽しめるスタイルだ。

折原商店,門前仲町,角打ち

この日は山形の出羽桜

この小グラスが1杯360円。銘柄によって価格は前後するけれど、500円前後からさまざまな地酒を“試飲感覚”で飲めるのが大きな魅力。「本日のおすすめ」も日替わりで用意されていて、日本酒好きなら冷蔵庫を眺めるだけで酩酊できる悶絶空間。

もちろん、日本酒以外にも生ビールはあるし、冬場にはおでんや火を入れたつまみも揃っていて、ちょっとした居酒屋涙。定番の乾き物も用意されている。

折原商店,門前仲町,角打ち

生ビールも装備

だいたい1000円ちょっとでいい感じに仕上がる。会計は都度払いで、スマホ決済にも対応しているのがありがたい。

このあとは、昭和感たっぷり、大箱のコの字カウンターが魅力の下町飲み屋「魚三酒場」へ向かうのが、いつもの流れ。“暖機運転”スポットとして、ひっくり返る前に2杯でやめておこう。

「家谷酒店」@三河島

家谷酒店

角打ち業界の激渋物件

4軒目は、常磐線・三河島駅が最寄りの「家谷酒店」。
個人的には、角打ちに限らず、この1年で行った酒場の中でもトップクラスのインパクトだったお店だ。

「三河島」と聞いてピンとくる人は、常磐線ユーザー以外では少ないかもしれない。山手線なら日暮里から常磐線でひと駅、歩いても15分ほどの場所にある荒川区の街だ。
ここも、昔ながらのコリアンタウン。とはいえ、K-POPやチーズハットグといった“今っぽさ”はあまりなく、古き良き焼肉屋や韓国料理店がしっかり根を張っている。中高年には安心できる落ち着いた雰囲気の街並みだ。

「家谷酒店」は、駅から10分ほど歩いた住宅街のど真ん中に突如として現れる。正直、狙って行かない限りはまず見つけられないレベル。
自分も以前、銭湯めぐりにハマっていたときに訪れた「帝国湯」の真向かいにあったのを見て、ずっと気になっていた“宿題案件”だった。

家谷酒店 角打ち 三河島 激渋

スカスカな棚と大将

こちらも、小売と飲食が一体になったオーセンティック角打ち。朝から夜まで通し営業で、好きなタイミングで飲めるスタイルだ。
外観からして「やってないかもしれない」という不安になる風情。中に入っても、誰もいないことが多い。
棚の商品はスカスカで、空きケースが無造作に置かれているなど、これぞ“雑然”の極みという感じ。
声をかけると、奥から老店主が登場。見た目はちょっと無骨だけど、実は穏やかで優しい人。ワンオペでお店を切り盛りしているらしい。

家谷酒店 角打ち 三河島 激渋

冷蔵庫には売れ筋がびっしり

冷蔵庫には缶ビール、チューハイ、日本酒のグラス売り用ボトルが整然と並べられていて、そのギャップもまた味がある。

冷蔵庫の向かいに角打ち用の大テーブルがあるのでそこで陣取ると、灰皿がお出迎え。吸い殻は無いものの、年季モノの灰皿軍団。よく見ると店内いたるところに灰皿がスタンバイしている。この日は誰もいなかったけど、喫煙OKな空間なので、煙が苦手な人は様子を見ながらの入店をおすすめしたい。

家谷酒店 角打ち 三河島 激渋

角打ち用テーブル

ここではキャッシュでしか決済できないので小銭を準備して行きたい。
アテは乾き物オンリーで、調理系は一切なし。かなり硬派なラインナップだ。

かつては銀座方面の飲食店に卸していたらしいが、いまは近所の常連さん向けの小売と角打ちがメイン。
お店の歴史とかいろいろ聞いてみたが、大将は耳が遠いのでこちらの質問がなかなか通らない。

…とはいえ、話好きな大将は止まらない。ワンウェイトーク劇場が開幕した。

家谷酒店 角打ち 三河島 激渋

大将の話は1本で終わらないのでおかわり

 

『アド街』で「入手困難ウィスキーの宝庫」と紹介された時の大盛況ぶりや、吉田類が来店した時のエピソードなど、次々と披露してくれる。
ちなみに「山崎」や「白州」は、その騒動の際に一瞬で売り切れたとのこと。

詳しくは、以前書いた↓の訪問記にも詳細を載せているので、よかったらそちらもどうぞ。

このお店の魅力は、なんといっても「限界物件」感と大将の語り。
息子さんもいるそうだが、後を継ぐ予定はなく、大将の代で閉じるつもりらしい。
「在庫を売り切ったら終わりにしたいねぇ」と、ぽつりとこぼしていた。

この日は、ビール2本とさきいかで530円。驚異の激渋価格。
仕上げに向かいの帝国湯でひとっ風呂浴びて帰ろう。

「鈴傳」@四谷

鈴傳,四谷,角打ち

分離型角打ちの王様

最後は四谷にある「鈴傳」。
最寄りの四ツ谷駅は、内堀側に上智大学や大使館、オフィスビルが立ち並ぶ一角がある一方で、新宿方面へ向かうと飲食店が増えてくるという、街の表情がガラッと変わるエリア。

「鈴傳」は、その新宿サイドの表通りから少し外れた路地に構える老舗の酒屋。やたら間口が広いけれど、その大半(8割くらい)は小売部門。店舗の地下には、大型の保冷庫があって、日本各地の地酒やワインがしっかりとストックされている。

角打ちができるのは、建物左手の狭いドアを開けた先。「スタンディングルーム鈴傳 四ツ谷」というのが正式名称。
ここは小売と飲食が完全に分離されたスタイルで、角打ちスペースの営業は17時から。ただ、16時半を過ぎたあたりからフライング気味に開いてることもよくある。

鈴傳,四谷,角打ち

すぐに満員になることが多い

18時を過ぎると満席になることも多く、その場合は隣の小売ゾーンでドリンク片手に時間を潰すのが定番。客層は仕事終わりのサラリーマンが大半で、利用時間は2時間までと決まっている。

店内は右手にオーダーカウンターがあり、壁際には4人立ちのテーブルが4~5卓並ぶ。テーブル間の距離はやや狭めなので、後ろの人と背中がぶつかりそうになるけれど、ちゃんと転倒防止のバーも設置されている。
飲み物や料理はカウンターでオーダー&都度会計(現金)。店内の冷蔵庫に並ぶお酒はこのスペースでは利用不可で、あくまで角打ち専用のメニューから選ぶスタイルだ。

鈴傳,四谷,角打ち

「本日のおすすめ」地酒が多数

瓶ビールは小瓶から大瓶までそろっているけれど、「中瓶で」と言うと──

大瓶にしとけば? お得だし

と、女将さんに軽やかに押し切られることもある。

この日の目玉は、入手困難な秋田の「新政」。なかなかいいお値段だけど、気になるラインナップだった。

つまみは刺身や煮物など、これまで紹介してきた角打ちにはあまり見られない“ちゃんとした調理もの”が日替わりで並ぶ。ショーケースから選んで、カウンターでオーダー、自分で席まで運ぶセルフスタイル。価格はだいたい1品300~500円。

鈴傳,四谷,角打ち

刺身が食えますよ

この日は、大瓶ビールに刺し盛(小ぶりだけど)や練り物などでスタート。
料理は全体的に小さめのポーションで、大人数向きというよりは、ちょっとずつつまみながら日本酒に流れる、という感じ。
この日も、自然な流れで地酒に移行。秋田の「山本」をいただいたけど、酔いがまわって写真は撮り忘れた。

焼酎やハイボールも少しだけ置いてあるけど、サワー系はなし。ここでは、普段なかなか飲めない地酒で組み立てるのがおすすめだ。

鈴傳,四谷,角打ち

前景が背景型撮影

ふと隣のテーブルを見ると、どこかで見たことある人が…。と思ったら、なんとパックン。仕事帰りらしく、女将さんと話しながら日本酒を傾けていた。どうやら常連らしい。

店内には手書きでこんな言葉が貼られていた。

呑ん兵衛が語る言葉に裏はなし

──沁みる、酩言(名言)だ。

この日は、2~3杯とおつまみ数品でだいたい3,000円ほどの仕上がり。

店の雰囲気、客層、酒のラインナップすべてにおいて、個人的には“分離型”角打ちの東京最高峰だと思っている名店。

2時間立ちっぱなしで心地よい疲れもあるし、この日はまっすぐ帰ることにしよう。

酩酊。

まとめ

今回は、比較的都心(「家谷酒店」を除く)に点在する角打ちを中心に紹介してみたけれど、池袋、小岩、赤羽橋…などなど、紹介しそびれた名店が目白押し。こちらはまた、タイミングを見て続編としてアップできればと思っている。

そして近々、角打ち文化の聖地ともいえる“本場・北九州”にも巡業に出かける予定。
こちらでも気合いを入れて、しっかり飲んでこようと思う。

酩酊。

 

最後に「家谷酒店」の大将をうろ覚えで描いたハイブリッドエクセル画で。

エクセル画 家谷酒店

おつきあいありがとうございました。

 

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