今回は激渋酒場篇で
山谷「いろは会」商店街にある
なかなか入りにくい大衆酒場「追分」。
山谷
正式住所は台東区日本堤。
最寄り駅は日比谷線の三ノ輪か南千住で
どちらからも10分強と遠いけど、
そばには基幹道路の明治通りも走っている。
「山谷」は過去の地域名で
現在は行政区分上は残ってない。
明治通りと吉野通りの交差点が泪橋で、
ここが山谷の入り口というか
ランドマーク的交差点になる。
ちなみに橋はない。
Googleマップでは泪橋は
「観光名所」の扱いになっている。
といってもめぼしい建物は
セブンイレブンくらいしかない。
泪橋の西側は
吉原の入り口も構えている
東京ディープエリアだ。
労働者の巣窟
山谷エリアは
日雇い労働者向けの
簡易宿泊所が密集しているドヤ街として
お酒が好きで
血気盛んな労働者がわんさかいて
交番襲撃もあった土地柄だ。
以前は
余所者はなかなか近寄れない
雰囲気が濃厚だったけど
労働者は高齢に達して
マイルド&ジェントル化。
かなり数は減ったとはいえ
1泊2000円台の宿もいまだ多くあって
最近は外国人バックパッカーが
格安宿を東京観光の根城にして
インターナショナル化進んでいる。
もちろん道端では酒好きな先輩方が
酒宴を日常的に催されている。
仕事があれば
1泊2000円は大したことないけど
1か月だと6万円。
激安アパートなら
3万円で見つかりそうだけど
身元保証や初期費用もいらないから
長年住まいにされている方も多い。
景気も悪くなって
70代に入って現場仕事もきつくなると
生活保護が頼みの綱の人も多い。
それが酒と煙草に消えていく明け暮れ。
「センター・オブ・山谷」、いろは会
山谷の中心地として
「いろは会」
という日用品が一通りそろう
アーケード商店街がある。
ここを目印に散策してたけど
アーケードが見当たらない。
うろうろしてると
吉原側の歩道にもう1つの目印
「あしたのジョー」の人形があった。
角の八百屋のオヤジさんに
「アーケード街ってこのへんでしたよね?」
って聞いてみると
「もう老朽化で2年前に撤去だよ。
昔はこの通りに80店舗あったけど、
今は10軒くらいしかないよー」
とのこと。
こちら10年ほど前のいろは会アーケード。
ひたすら「ジョー」押し。
↓は泪橋側入り口。
再開発反対の(多分アーケード撤去の件かな)
のぼりがはためく。
そして、現在。青空がまぶしいけど
なんだか寂しい。
あぁ、どうりで小綺麗になったわけだ。
以前は大量の自転車が止まってたんだけど、
商店街風情もなくなったし
雨降る日も
アーケード下で横になっている
先輩達の行き場もなくなってしまったわけだ。
大衆酒場「追分」
この日は近所にある
名店酒場「丸千葉」に行ってから
前から気になってたけど
1人ではなかなか入る勇気がない、
山谷の酒場に飛び込んでみた。
連れもいたし
気も大きくなってチャレンジだ。
その店が
以前のいろは会アーケード出た
あたりにある「追分」だ。
中は見えないし
余所者を拒むオーラが強烈すぎて
素通りで終わってた店だ。
飲み屋がもう少しあった気がするけど
まだ日が高いし
他にやってそうな店も見当たらない。
旨い酒は全く期待してないけど
店の風情と先輩たちとの会話が
最高のアテになるかもしれない。
店の前には
すでに10台近く自転車が止まってる。
混んでるかもしれない。
このへんの自転車は
比較的新しいのが多くて
ちゃんとカギをかけている。
貴重な資産であることがうかがえる。
常連濃度100%、本格派
店内には先客が5人ほど。
カウンターに4人掛けテーブルが3卓ほど。
一番奥のテーブルは物置化している。
みなさん常連のようだけど
1卓各1名。
すでにソーシャルディスタンスのはしりか
各自かなりのスペースを空けて座っている。
そして店内でもキャップをかぶっている率が高い。
新参者のうちらは
入り口そばのテーブル。
ここにはすでに先輩がいらっしゃる。
店内見回すと
メニューは壁の手書き短冊のみ。
値段は激安ではない。
チェーン店のほうが安かったりするけどお通しはない。
とりあえず俺はお茶ハイで
連れはトマトハイ。
なんだかイタリアンなカラーリングで乾杯だ。
なんか頼まないといけないかなぁ
と壁を見てると、
先輩「ここは初めてかい?」
俺「はい。前から気になってたんですよー」
先「へー、変わりもんだねー。
あ、ここ、お通しないし、
飲み物だけで
なんも頼まなくても大丈夫だから」
とご指南。
確かに先輩の前には
飲み物とタバコしかない。
先「やっぱり昼酒はうめーよなぁ。
今日は仕事どーした?」
俺「コロナで在宅勤務なんですけど、
家いてもしょうがないんで飲みに来ました」
先「コロナといえば
日本はどうなっちゃうんだ?」
ここから社会・国際、
そしてオリンピック問題に流れていく。
かなり社会的意識が高い先輩だ。
俺「だったら次の台東区議に立候補して
山谷から改革ですよ」
先「なにからかってんだよぉ、でもだなぁ・・・」
まんざらでもなさそうだ。
そろそろ面倒くさい流れになってきた頃、
カウンター手前の先輩が
カラオケのリクエスト。
「北国の春」だったような
よく覚えてないけど救いの手だ。
じつはここ、カラオケ居酒屋だった。
といっても歌うのはカウンターの先輩だけ。
あとは歌に合わせて踊ったり
聞いてなかったり。
各自勝手に酔っぱらって素敵なムードだ。
その間、誰もつまみは頼んでない。
大将はひたすら食器洗いにいそしむ。
みなさん自由です。
もう1軒行きます
ちょうど1杯飲み終えたころ
先「もう1杯飲むんだろ?」
俺「やー、もう1軒行くんですよー」
初見だし長居しないほうがよさそうな予感が
あったからお会計。
2人で800円。
一人400円。
税込み。
スタバより安い。
ここは座って飲めて
吸える休憩場所として
チョイ飲みありな激渋酒場。
自由に満ち溢れている。
最後にお世話になった先輩のハイブリッドゆるエクセル画。
酩酊。
おつきあいありがとうございました。
-----------------------------------
このあと向かった
浅草の老舗ビアバーのレポートはこちら。