今回は東京・鶯谷の居酒屋「鍵屋」
をエクセルで描いた話。
- 【はじめに】エクセル画ってどんなの?
- こちらが最古かもの東京居酒屋
- 潤いエリア鶯谷
- 飴色、というか茶色の世界
- さく飲み場です
- エクセル画のスペック
- エクセル画ざっくり作画過程
- エクセル画バーチャル額装版
- 「鍵屋」からの帰路
- 【後日談】エクセル画納品
【はじめに】エクセル画ってどんなの?
「エクセル画」というと
エクセルのマス目に色を付けて描いていく
「ボクセルアート」、「ドットアート」を
イメージする人が多いですが
自分はエクセルに搭載されている「描画ツール」から
曲線や円、四角の基本図形やフリーハンドを使いながら
シートの上に線を描いて
それに色を乗せて積み上げて描く方法でやってます。
こんな感じです。
エクセル画に腰を入れて描き始めてから
もう10年以上たちますが
ペンタブはどうも扱いづらくて
ずーっとマウスを使て描いてます。
かなりの変態画法ですがよろしくお願いいたします。
こちらが最古かもの東京居酒屋
東京は上野駅の隣の鶯谷にある「鍵屋」は
神田の「みますや」とならんで「東京最古」といわれる
老舗居酒屋だ。
「みますや」は明治38年(1905年)創業の118年、
「鍵屋」は幕末で井伊直弼が大粛清をした
「安政の大獄」時代の安政3年(1856年)に酒屋で創業。
今でいう角打ちでもやってたらしい。
ということは今年177年目になる。
この時点で最古になるけど、
お店は昭和49年(1974年)に
大正元年(1912年)築の古民家に移転して
今に至っている。
創業は「鍵屋」、
建物は「みますや」
のほうが歴史的に長いということになる。
それでも「鍵屋」の建物も110年超の風格物件だ。
ちなみに「鍵屋」の初代建物は
小金井公園の「江戸東京たてもの園」に
移築展示されている。↓
https://www.tatemonoen.jp/panorama/east_jp/e03/
潤いエリア鶯谷
山手線は上野駅の1つとなりの鶯谷。
上野公園にも近いけど、
住民じゃないとなかなか乗り降りしないマイナー駅だ。
駅前は飲み屋はちらほらあるものの
圧巻するほど密集しているのがラブホテル。
南口は線路の高架道路に直結した
狭いロータリーになっている。
ここは「陸の孤島」の歓楽街、
吉原への黒乗り送迎車の待ち合わせ場所になっている。
上野の風俗的な部分を煮詰めたような
濃密なスポットだ。
駅前は昭和的欲望発散ゾーンが
べっとり残っているけど
大通りを渡ると一転して
密度の薄い商店街と住宅地に様変わり。
「鍵屋」はその静かな「鶯谷」、
というか地名の「根岸」に鎮座している。
飴色、というか茶色の世界
コロナ以降、久しぶりに行ってみた。
3年ぶりかなぁ。
入って右手はL字カウンター。
17時の口開け早々だったけど
すでに常連ぽい人たちが飲っている。
壁には昭和初期まであった
「カブトビール*」のポスターも健在だ。
いつもはカウンターにくわえタバコをしながら
お燗をしている大将がいるけど、
この時は女将さんだけ。
店内にはいたるところにアクリル板が置かれてて
ちょっと残念だけど、コロナシフトで仕方ない。
この日は二人だったので、小上りに通されて着座。
店内はこんな感じです。
さく飲み場です
まずは老舗の定番、サッポロ赤星。
値段もガムテープの上から上昇改定されている。
この日はすでに3軒目だったから軽めで発注。
菊正宗のぬる燗にたたみいわしと合鴨塩やき。
合鴨は確か1本で690円。
こちらはサービスだった。
どれも「ちょっと盛」で割高感はあるけど
場所代みたいなもんだなぁ。
ここは大酒、大食いする雰囲気じゃない。
で風情を楽しむ場所と割り切りましょう。
〆てひとり1700円。
「さく飲み」いはちょうどいい感じだ。
ちなみに先代の遺言で女性客のみの入店はNG。
なので女性ひとり飲みもダメ。
女性が何人でも1名男がいれば入れてくれるらしい。
これは兜町の立飲み「ニューカヤバ」もそうだ。
酔客だらけの酒場でのナンパやトラブル防止もあるんだろう。
エクセル画のスペック
2023年1月制作。
今回もできるだけ直線を使わない
「ゆるエクセル画」仕様。
パーツ数713。
最近手掛けた建物系にしてはかなり少ない。
店前の装飾物が少ないからな。
こちらはドット版。
入り口引き戸と瓦屋根にパーツが集中。
でもかなり密度は薄い。
エクセル画ざっくり作画過程
今回も出来上がるまでの途中経過を
ざっくり紹介していきます。
初日&2日目
初日だけだと祠にしか見えないので
ここからアップしていきます。
左側塀の部分と2階までマウスを進めてみた。
2階の瓦屋根は結構端折ってます。
この先の難関は店前の木。
パーツ数335。
3日目
今日は右側塀の部分と2階の手摺。
時間かかった割にあんまり進んでないなぁ。
明日酔っ払ってなかったら難関の庭木に着手予定。
パーツ数423。
4日目
珍しく4日連続でマウスを握る。
今日は木。
想定よりは難航しなかった。
次は店先の小物。
調子よければ暖簾に着手予定。
パーツ数507。
5日目
超珍しく5日連続でマウスを握る。
今日は看板と暖簾。
残りは屋号入れ。
筆文字なのでマウスのフリーハンドで描く予定。
でも明日は外でがっつり飲みなので描きません。
パーツ数662。
エクセル画バーチャル額装版
最後は背景と屋号入れ。
看板、暖簾、路上サインのすべてが
特徴あるフォント。
すべて手書きで入れてみる。
そして出来上がったエクセル画のバーチャル額装版がこちら。
やっぱり屋号が入ると締まるなぁ。
「鍵屋」からの帰路
帰りの鶯谷駅までは裏通りを通過。
ラブホ率100%。
新宿、渋谷でもこれほど密集してない。
営業前後のおねえさんもちらほら通っていく。
東京随一のディープスポットだなー。
「裏通りの王道」だ。
酩酊。
【後日談】エクセル画納品
そして2024年9月、いつものがらの額装をして(ダイソーですが)
ゲリラ納品に向かう。
17時の口開けに着いたら、既にカウンターも小上りも半分ほどの入り。
こっちは3人だったので小上りに通される。
店内は変わらず見事に燻されている。
実はこの日は昼から飲んでて3軒目なので、
あんまり飲んでいない体でおとなしく入店して、
「とりあえずビール」スタイルでスタート。
そしてとり皮、たたみいわし、味噌おでんにお新香。
この後酒も頼んだけど、お約束の写真撮り忘れ。
普段は、板張りの床座りは腰がきつくて苦手だけど
ここでは心地よく麻痺してしまう。
そしてお会計に合わせて、エクセル画を取り出す。
最初や途中に絵を出すと、お店の人に気を使わせたりするので
いつも退店間際のどさくさで納品にしている。
この日は大将がいなくて、女将がホールに一人。
店内には巨匠と思しき大作の鍵屋の絵が数点飾られているから、
「パソコンで描いた絵なんですけど、
トイレでもどこでもいいので、迷惑ならない場所においてください」
と進呈。
女将も喜んで受け取ってもらえた。
ちなみに絵の一枚はアカデミック系酒場評論家の
太田和彦先生の鉛筆画とのこと。
↑この実物が(間違いなくダイソーではない)額縁に入って
展示されている。
とりあえずで入り口脇の小窓の縁に置かせてもらえた。
そのうちどこかに移植されそうだけど
どなたか見つけたら一報ください。
たぶん、トイレが濃厚と思いますが。
おつきあいありがとうございました。
*1:現在のアサヒ、サッポロビールの前身の大日本麦酒に買収され消滅